ブレンボ・ブレーキシステム |
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Brembo Brake System | 一部オーナー限定補修品 |
S401のブレーキ構成パーツは基本的にインプレッサSTIバージョン(GDB)のA〜D年改モデルに使われているものをそっくり移植した形になっています。(パーツリスト) フロントブレーキ周りは標準車にポン付け状態ですが、リアブレーキ周りはインプレッサSTIとレガシィでは互換性がない部分があるためバックプレート、パーキングブレーキケーブル&レバーを新たに設定することで対応しています。(諸元表) パッドは、ブレンボ製(OEM元:ユーリッド)でダストが前後とも凄いです。 ローターへの攻撃性も一般のレガシィと比べるとかなり強いようです。 ブレーキホースは、STI製(OEM元:ニチリン)のレガシィ専用のPTFEチューブ/ステンレス撚り線(ステンメッシュホース)が採用されています。 この製品によってフィーリングUPにホースが大きく貢献していることが良くわかりました。
キャリパー本体はアルミなので鋳鉄の22B用キャリパー(赤キャリ)よりも軽いです。 ただ、フロントに関しては、やや剛性不足で、ペダルを底まで踏み込んだときに目視でも判るくらいにキャリパーボディが左右方向に膨らみます。 ネームバリュー、ビジュアルインパクトは十分なのですが、小さなトラブルがかなり多発しています。 最初のトラブルは、納車後約3ヶ月でクレームを申し出たのですが、数箇所のブリードスクリュ部分からのフルード漏れ(滲みレベル)でした。 フルードでキャリパー本体の塗装が一部侵食されたのと「念のため」という理由で四輪すべてのキャリパーをASSY交換しました。 はじめはエア抜きしたときにプラグ内に残ったフルードが熱膨張して滲み出ているのかと思っていましたが、拭いたり吸い取ったりしても滲みは無くなりませんでした。 ブリードスクリュを観察(写真6)してみると対向4Pot用(赤キャリ)や標準スライド式キャリパー用のものと比べてキャリパーに入っているねじ山数が60%程度しかないこと、平滑性にやや欠けるテーパー部分の仕上げなどが原因となっている可能性も捨て切れません。 交換後もかなりシビアな感じで、こまめにチェックしています。 ブリードスクリュの規定締め付けトルクは、20±2Nm[2.0±0.2kgf・m]です。 ブレンボは外側と内側にブリードスクリュがあるので、前後左右合計で8箇所チェックしないとなりません。 2番目のトラブルは、恐らくキャリパーピストンの組み付け不良だと思いますが、ブレーキを踏み込んだ際のきしみ音です。 これにより右フロントキャリパーを再度ASSY交換しました。 交換後一旦は解消したのですが、再び発生しているので個体差の範疇は超えていると思います。 褒められたものではありませんが、諦めることにしました。 3番目のトラブルは、左リアのバックプレート付近からの異音(共鳴音)発生です。 念のためにバックプレートを交換しましたが、症状の改善はみられませんでした。 このほかに、加減速時にフロントキャリパー付近から叩音が発生する不具合も確認しています。 22Bキャリパーでは、パッドの上下動を抑制する板ばねが入っていましたがブレンボにはないので、パッドがキャリパー内を動くときに発生する音なのかもしれません。 インプレッサ(GDB)に乗って確認してみましたが、同様の症状があったのでこれは”仕様”なのかもしれません。(「叩音対策」参照) フィーリングは他の構成部品の影響もあるので単純にブレンボだから凄いとは一概に言えませんが基本性能そのものには満足しているだけに、些細な不具合が気になります。 ■ フルード漏れその後 一旦収束したかに見えたブリードスクリュ部分からのフルード漏れですが、フルード交換・エア抜きでブリードスクリュを回すと一部ですが漏れが再発します。 このため左リアのキャリパーとディスクを再々度交換をしてもらいました。 ■ 再度キャリパー交換 (2007.08.) ブレーキ・ディスクローターの交換にはキャリパーの脱着を伴う訳ですが、装着時に左フロントキャリパーの上側ボルトがねじ切れてしまいました。 アルミボディのキャリパーにしては異常に高い締め付けトルク(155N・m)が指定されていて、以前から気になっていたのですがしたのですがやってしまいました。 これまでのトラブルはクレーム交換(無償)でしたが、今回は自腹でした。 巷ではOEM品(国産)ではないかと噂されたりしていますが、補修パーツのパッケージには「Made in Italy」と表記され、交換手順書もイタリア製多言語表示のものが同梱されているのでのブレンボ内製なのでしょう。 これだけマイナートラブルを経験すると、たまたま起きたとは考えにくいです。 重要保安部品だけに信頼性の向上が望まれます。 |
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写真1: ブレンボキャリパー(左フロント) |
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写真2: STI製ステンレスメッシュブレーキホース(前輪) |
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写真3: ブレンボキャリパー(左リア) |
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写真4: STI製ステンレスメッシュブレーキホース(後輪) |
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写真5: STI製 左後輪用バックプレート 17" |
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写真6: Brembo用ブリードスクリュ ねじ山数が少ない | |||||||
写真7:
Brembo補修部品に同梱の交換手順書(PDF)
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メーカーが具体的に何の対策目的で導入したのかはよくわかりませんが、GDBインプレッサのE型から採用された「タイバー」というキャリパーのハブ取付け部分に装着する補強(?)パーツを取り付けてみました。 詳しくはこちら |
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名 称 | メーカー | 品 番 | 定 価 (税別単価) |
Brake Caliper, Front (RH) | FHI (brembo) | ||
互換部品 | FHI (brembo) | 26292FE022 | ¥100,900 |
Brake Caliper, Front (LH) | FHI (brembo) | ||
互換部品 | FHI (brembo) | 26292FE032 | ¥100,900 |
Brake Caliper, Rear (RH) | FHI (brembo) | ||
互換部品 | FHI (brembo) | 26692FE020 | ¥91,700 |
Brake Caliper, Rear (LH) | FHI (brembo) | ||
互換部品 | FHI (brembo) | 26692FE012 | ¥91,700 |
Brake Disc, Front | FHI | 26300FE000 | ¥46,000 x2 |
Brake Disc, Rear | FHI | 26700FE000 | ¥43,000 x2 |
Pad kit, Front | FHI (Jurid) | 26296FE040 | ¥45,000 |
Pad kit, Rear | FHI (Jurid) | 26696FE000 | ¥42,000 |
Parking Lever (RH) | STI | 2670866000* | ¥2,500 |
Parking Lever (LH) | STI | 2670066010* | ¥2,500 |
Back Plate, Rear (RH) | STI | 2670466000* | ¥18,000 |
Back Plate, Rear (LH) | STI | 2670466010* | ¥18,000 |
Stainless Brake Hose Kit | STI | ST2655066050 | ¥36,000 |
Brake Cable Assy (RH) | STI | ST2605166000 | ¥4,000 |
Brake Cable Assy (LH) | STI | ST2605166010 | ¥4,000 |
■ | ブレーキ構成主要部品のみ記載してあります。 装着するには、このほかにショートパーツが必要です。 |
■* | オーナー補修対応部品です。 一般には供給されません。 |
■* | repair parts available for s401 owners only! |
【追記】 2004年3月、STIからBE/BH(先代)レガシィとBL/BP(現行)レガシィ用のブレンボブレーキキットが発売されました。 単体パーツでの発売は無いようですが、一式セットであれば誰でも購入できるようになりました。 資料によるとブレンボのキャリパーは、2004年3月26日以降生産車(GDBD, GDBE)では前後とも部番が変更になりました。 部品そのものに小変更が加えられたのか、それ以外の部分での変更かは不明ですが・・・ 【追記2】 2006年06月に行われたインプレッサの年改で登場したWRX STI A-Lineでは従来の金色のキャリパーに代えて黒色のブレンボが採用されました。今後登場が予定(?)されているブレンボ付レガシィでも金から黒になりそうな気配が・・・ 黒色ブレンボキャリパー(GRBインプレッサ用を除く)の部番は以下の通りです。(パッドは含みません) 黒色ブレンボキャリパー(参考) |
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ブレーキ諸元・寸法比較 |
項 目 | 標準車 | S401 | ||
前輪 | 後輪 | 前輪 | 後輪 | |
■ 主ブレーキ |
液圧式全4輪制動 |
液圧式全4輪制動 |
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ブレーキ形式 |
ベンチレーティッド・ディスク | ベンチレーティッド・ディスク | ||
キャリパー |
スライド式2ポット | スライド式2ポット | 対向4ポット | 対向2ポット |
ホイルシリンダ内径 mm |
42.8 x2 | 38.1 | 40.0+46.0 | 36.0 |
パッド寸法 mm |
112.3x50.0x11.0 | 82.4x33.7x9.0 | 131.8x60.5x8.9 | 76.8x45.0x9.0 |
パッド面積 cm |
50 x2枚 x2輪 | 19 x2枚 x2輪 | 75 x2枚 x2輪 | 32 x2枚 x2輪 |
パッド材質 |
ノンアスベスト・レジン・モールド | ノンアスベスト・レジン・モールド | ||
ディスク有効径 mm |
247 | 254 | 268 | 268 |
マスタシリンダ内径 mm |
26.9 | 26.9 | ||
ブースター倍率 |
9.2(踏力180N) | 9.2(踏力180N) | ||
■ 駐車ブレーキ |
機械式後2輪制動 |
機械式後2輪制動 |
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ブレーキ形式 |
内部拡張式 | 内部拡張式 | ||
ライニング寸法 mm |
162.2x30.0x3.2 | 182.3x30.0x3.2 | ||
ライニング面積 cm |
48 x2枚 x2輪 | 54 x2枚 x2輪 | ||
ライニング材質 |
ノンアスベスト・レジン・モールド | ノンアスベスト・レジン・モールド | ||
ブレーキ胴径 mm |
170 | 190 |
「スバルGH-BES型S401新規検査参考資料」より |
最終更新:2007.10.16. |